
大都市としての大きなスケールを持った大通りと文化を守り続けてきた長屋の形式が連続する小さなスケールを持った路地。仕事として訪れる人や本やカレーといった趣味のために訪れる人、もしくは、異なる都市から都市への移動のために訪れる人がいる。 このように、多様な文化、空間、人といった要素が混在し、さらには相反しさえする神保町という街に、私は、中間領域を置いてみようと考えた。
交差点と路地空間をグラデーショナルに繋ぐブックカフェ、鳥居をイメージさせるオフィスの外観、それに呼応した広場のオブジェクト。オフィスを取り囲むように配置された縁側。大きなスケールと小さなスケールの仕掛けによって中間領域と化したこのオフィスは神保町の全ての要素を受け入れ、特異な差を結ぶ媒体となる。さらに、受容された要素はオフィス内外の人の営みによって変化するバルコニーのアレンジや建物内から漏れ出す光としてオフィスのファサードに現れる。それにより、このオフィスは神保町を発信する媒体にもなる。
ファサードを見た時、本を読んでいたり、仲間とお喋りをしている時、外側の路地やブックカフェを通り抜けた時。そのとき人々は、神保町という世界に訪れたということを感じる。このオフィスが神保町の象徴として、街の人々の誇りと思ってもらえるような建築を目指した。
対象地域:
神田神保町1丁目